犬の「うなる」「噛む」などの問題行動
家族が近づくだけでうなり声をあげ、歯をむき出しにする愛犬の行動に泣き出したくなったことありませんか?
我が家のトイプードル5匹の中で、現在16歳のアプリトイプーの花だけが「うなる」「かみつく」かなり怖い子犬でした。
大人しく抱っこされているなと安心して体を撫でようとすると「ガウ!」
手に持ったおやつの匂いを嗅がせようとすると「ガウ!」
目を合わせて名前を呼ぶと「ガウ!」
いくら見た目が愛くるしい子犬でも、これでは可愛げがありません。
花をペットショップで見て、一番最初に連れて帰りたいと言った娘でさえ、連れて帰ってきたのを後悔するほどの問題行動
我が家がどう向き合ってきたのか、今日は書いてみました。
愛想の悪いトイプードル花との出会い
花に初めて会ったのは、あまり清潔ではない(かなり・・・)ペットショップでした。
当時、3匹目の犬を家族に迎えようか迷っていた我が家
あちこちペットショップを回り、どこかの家で子犬が産まれたと聞けば会いに行くものの、なかなかピン!とくる子犬に巡り合いません。
ある日、買い物帰りに見つけたペットショップには、可愛い顔をした黒のトイプードルと、店内の隅っこのケージに入れられ荒れた表情をしたアプリコットのトイプードルがいました。
あまり清潔といえない店内
さすがに、ちょっとここでは子犬を購入したくないなと考えている親の横で、幼稚園児だった娘はアプリコットのトイプードルが気になって仕方がありません。
そんな親子の姿に店員さんは「抱っこしてみますか?」と素早く声をかけてくれます。
娘はキラキラした目で「うん!」と答えてしまったものですから、店員さんはサクサクと娘と私の腕の中に、小さなトイプードルを渡してくれました。
黒のトイプードルは初めての人にも物怖じもせず、ぶんぶんと尻尾を振ってくれます。
アプリのトイプードルは、尻尾をお腹の中にキュウっと丸め込み、できるだけ目を合わせないようにします。
どちらの子犬が可愛いかと聞かれれば、だれだって愛想の良い黒トイプーの子犬が可愛いというでしょう。
でも、娘は体を触るたびにビクッとするアプリトイプーの子犬が気になって仕方がなかったのです。
愛想のない子犬に執着する子供
娘のそんな態度を店員さんが見逃すはずがありません。
あれやこれやと、この子犬の良いところをアピールしてきます。
でも、現在我が家には2匹の犬がいるため、もう少しじっくりと考えたいと話すと「あ~そうですか」と、さっさと2匹の子犬をケージに戻しました。
娘に「もう帰ろう」と言っても、アプリのトイプーのケージの前から離れようとしません。
必死にケージの前で愛想のない子犬の顔を覗き込む娘を見ていると、親も妙にその子犬が気になってきます。
そんな親の様子を子供は見逃すはずがありません。
「お母さん、このワンちゃん連れて帰ってもいい?」必死にお願いする娘に「今はだめ」「もう少しじっくり考えよう」と言って店を出ました。
どうして、あの子犬ではだめなのか?
納得がいかない様子の娘に、近くのミスドでドーナッツを食べながら、どうしてアプリトイプーの子犬を連れて帰れないか説明しました。
- 人を怖がる子犬は育てるのが難しいこと
- 子犬の後ろ足が内側に変形していること
- 子犬が時々ケホケホと咳をしていること
幼稚園児の娘にそれらをゆっくりと話しても「あのワンちゃんがいいの・・・」「あのワンちゃんじゃないとだめ」としか言いません。
誰も可愛いって言ってくれない可哀想な犬
とても頑固な性格の娘は、なかなか諦めません。
ほかにもっとかわいい子犬がいるよと言ってもダメ
黒のトイプードルの子犬のほうが可愛かったよねと説得してもダメ
ダメダメと親が言えば言えばいうほど、ダメと言われるものに執着をする娘
引っ張って連れ帰ろうとしても嫌がる娘に、「どうしてあのワンちゃんじゃないとだめなの」と聞くと「かわいそうなワンちゃんだから・・・」というのです。
沢山のお客さんが「可愛い可愛い」と子犬のケージを覗き込んでいるのに、じっとケージの隅っこにいるアプリトイプードルだけ、ちらっと見ては通り過ぎていきます。
それがものすごく気になった娘は、どうしてもその子犬を新しい家族にして自分がいっぱい「かわいい!かわいい!」と言ってあげたかったのです。
うなられても・噛みつかれても、泣きながらギュっとするのを諦めない
結局、娘のその気持ちに負け、アプリトイプードルの子犬はその日のうちに我が家に連れて帰ることになりました。
ペットショップ側は数日後に引き渡ししたいと言われましたが、ケフケフと時々出る咳が気になったので、当日無理やり連れ帰り、翌日動物病院へ。
診察結果はケンネルコフ。
花と名前を付けられた子犬は、我が家に来た日からケンネルコフが治るまで、子供たち、2匹の先住犬達と接触しない生活をしていました。
獣医さんから「もう家族と一緒に遊んでも大丈夫ですよ」と許可が出た日、娘が触ろうとした途端、うなり声をあげ、噛みつく花
それでも娘はひるまずに、いい子ね~いい子ね~といって、そっとあごの下からこちょこちょと撫でます。
何度も何度も挑戦しているうちに花もあきらめるのか、体を触らせるのを拒まないようになるのですが、表情はガッチガチにこわばったまま
やっと抱っこできたと喜べば、突然スイッチが入ったように唸り声をあげ、子供の手をガブリ!!
「花ちゃんが噛んだ~」とぎゃん泣きする娘は、それでも花を触るのをあきらめようとしません。
人間の手を怖がるトイプードルとの暮らし
花が唯一噛まないのは私だけでしたが、声もかけずに抱き上げようとすると眉間にシワを寄せ唸り声をあげます。
耳元で何度も「花」「花」と声をかけるとどうにか落ち着くのですが、これが私以外の人間の場合、歯をむき出しにしたまま威嚇をはじめるのです。
それも、いつどんなタイミングで怒りのスイッチが入るかわかりません。
気持ちよさそうに撫でられていても、突然うなり声をだし、牙をむき出しにします。
それでも諦めずに、人の手は安心できるものだということを花に何度も教えないといけません。
ありがたいことに、犬が大好きなご近所さんも、何度花がうなり声をあげても、「花ちゃん」「花ちゃん」と声をかけ、花が落ち着くまでゆっくり相手をしてくれました。
子供たちは花に何度も威嚇され噛まれ、最初の頃は「花のバカ~!!」と大声で泣きながら言っていました。
でも、だんだんと涙をこらえながら「ダメ」と一言びしっと言って、花が落ち着くまでじっと待つことを覚えました。
そうやっていろいろな人の努力のおかげで、花は少しずつ人を信じてくれるようになり、「ヤンキーみたい・・・」とご近所さんから言われた表情も半年を過ぎるころからだんだんと穏やかになっていったのです。
16歳の老犬になり、視力を失い人の気配に時にはおびえることがあっても、名前を耳元でゆっくり読んであげると穏やかな表情にすぐ戻ります。
ペットショップで可愛いと声をかけてもらえなかった花は今、とても可愛いおばあちゃん犬として沢山の人に可愛がってもらっています。
こうやって当時の思い出を書いていると、いい話として読まれてしまいますが、実際は何度も「どうしてこのこを連れて帰ってきたんだろう」と後悔したこともあります。
犬がうなったり、噛みつく行動には何か必ず理由があります。
人間不信になってしまった犬が、人を信用してくれるのには根気と覚悟は必ず必要です。
どこかで「このこはもう無理」と諦めてしまったら、二度と愛犬を抱きしめるこてはできなくなってしまいます。
もしも、おうちのワンちゃんが人に威嚇を始めてしまっているのなら、どうかゆっくり時間をかけ、人の手は安心できるものだと教えてあげてください。