お正月、娘も帰省し久しぶりに家族全員がゆっくりとした時間を過ごせる予定でした。
そんなゆっくりとした時間に合わせるように、17歳のミルクが4匹の犬達と4人の家族が見守る中、1月2日の昼過ぎに穏やかな表情で逝きました。
賢かった我が家のボス犬『ミルク』の死に方は、家族の誰もが「人間もこんな風に死ねたらいいね・・・」と思えるほど、最後まで賢い生き方でした。
老犬トイプードル老衰による行動の変化
ミルクは昨年の年末からどんどんと体が薄く、小さくなっていきました。
食べるものは食べ、水も飲み、オシッコが間に合わなくってトイレ以外でちびってしまうこともありましたが、ぎりぎりまでトイレでは排泄をしようと頑張っていました。
真夜中も排泄がしたくなればムクッと起きだすほどしっかりした老犬でした。
毎晩母ちゃんと一緒に眠るミルクは、母ちゃんが布団からどんなにソッと抜け出しても、すぐに母ちゃんがいないことに気が付くワンコでした。
母ちゃんがうっかりと寝返りを打ち、ミルクの体を押しつぶしそうになったら逃げ出すワンコでした。
でも、12月の半ばを過ぎたころからミルクはどんどんと体を自由に動かすことができなくなりました。
オシッコがしたくなっても、すぐに起き上がることができず、ずるずると布団の中から這いずって出てくるようになりました。
母ちゃんが布団の中からいなくなっても気が付かないまま一匹で眠っていることが増えました。
うっかり寝返りを打った母ちゃんの腕が体の上に乗っかっても、そのままキュ~っとつぶれたまま眠っていることもありました。
そして、正座する母ちゃんの膝の上にさえ、自力で這い上がってこれなくなりました。
食べても体が小さくなっていく老犬
どんどんと体の機能が衰えだしてくる17歳のトイプードル
食欲がほとんどなくなったのは12月29日の朝からでした。
それまでは、ほかのワンコたちと同じようにドッグフードもおやつも、ゆっくり時間はかかるもののペロリと完食していました。
でも、どんなに美味しそうに食べても腕の中で眠るミルクの体は日ごとに小さくなっていき、寝ている体を撫でると数か月前まであった張りがなくなったことがわかるほどになっていきました。
それでも、まだ食べることに意欲がある間は、「まだ一緒にいることができるね」そう思っていました。
でも、12月29日の朝からは、ドッグフードを一口も食べなくなり、水を飲む回数もぐっと減ってしまったのです。
そして、食べない飲まないのにどんどんとウンチとオシッコの回数は増え、小さな体はさらに小さくなり、眠っている姿も弱々しくなっていきました。
老犬の死の前兆。家族の心構え
排便の回数が増えだすころ、肛門はしっかりと閉じることがなくなり、ちょっとしたことでウンチが出てくるようになりました。
悲しいことですが、老犬が自然に食欲が落ち、排泄の回数が多くなり、肛門が閉じることがなくなると死期が近いことを覚悟しなければいけません。
ただ、ミルクはこのような状態になっても、好きなものを食べたいという欲求や、自力でトイレで用を足したいという欲求は残っていました。
大みそかも、元旦もお肉の茹でる匂いがすると、背中を丸めながらヒョコヒョコと台所まで歩いてきては尻尾をフリフリしていました。
家族ができることは老犬が最後の時まで自分の力でしたいことを補助してあげることです。
ドッグフードを食べなくなっても、茹でたお肉・ヨーグルト・ゆで卵を少量ずつ食べさせ
オシッコやウンチがしたくなれば大急ぎでトイレに連れていきます。
家族のそばから離れたがらないミルクのために、必ず家族の誰かが一緒にいてあげる。
ただそれだけです。
家族が揃うのを待っていた老犬
12月31日の朝
大好きなお肉とヨーグルトを食べたあと、ことんと横になったミルクの顔は「もうすぐお別れですよ・・・」そんな表情でした。
1月1日に帰省予定の娘に「ミルク、もうすぐ危ないかもしれない」と連絡を入れ
「お姉ちゃんが帰るまでもうちょっと頑張れ」そう声をかけました。
その晩、ミルクは布団の中で吐き、自力でトイレにいき水を少し飲んだ後、ふにゃりと倒れ込みました。
母ちゃんの腕の中で眠るミルクは、もういつ息をしなくなってもおかしくないほどでした。
それでも元旦の朝は、おばあちゃんからお肉とゆで卵をもらうために尻尾をふりながら立っていました。
娘が帰省すると、よろけながらも必死に玄関まで尻尾を振りながら歩きお出迎え
家族全員そろっての食事が始まると、母ちゃんのそばにくっついて横になりました。
そして、そのまま体中の力が抜け、翌1月2日の早朝に体が痙攣
数十秒の痙攣後から、横になったまま排便が止まらなくなり、ミルクが最後の時が来たと覚悟をしました。
最後のお願いを叶え、虹の橋を渡ったトイプードル『ミルク』
痙攣後、横になったまま動かなくなったミルク
それでも、他の犬達がお肉やヨーグルトを食べているのは気になるのか、鼻をひくひくさせます。
小さく小さく切ったお肉を口の中に入れてあげると、美味しそうにゴクリと飲み込み、もっとくれとばかりに小さな声で吠えます。
ガーゼに湿らせた水分を少しずつ口に含ませると、だらりと出てしまった下を少しだけぺちゃぺちゃしてくれます。
他の犬達が大騒ぎして頭もとで暴れだせば、か細い声で「うぉ~うぉ~」と文句をいい
ウンチで汚れた体を拭かれるのが嫌なのか、これにも「うぉ~うぉ~」
身体をまったく自由に動かせなくなったのに、ちゃんと欲求吠えをするミルクの姿に、家族全員が「賢い犬は最後まで賢いな~」と感心するばかりです。
そんなミルクがお昼過ぎから必死に小さな小さな声で鳴き続けます。
身体を撫でても、お水をあげても、寝返りを打たせても鳴き続けます。
「ミルク・・・母ちゃん抱っこしてあげようか」と声をかけると、必死に母ちゃんのほうに顔を向け「アウアウ」と返事をしてくれました。
小さく小さくなってしまったミルクを抱き上げ、目を見つめながら「ミルクはいい子だね」と頭を撫でてあげると、ミルクは安心したのでしょうか?
そのまま、す~と息を引き取りました。
保護犬として我が家に来た時から、母ちゃんのことが大好きだったミルクの最後の願いは、母ちゃんに抱っこされながら眠ることだったのか・・・
本当に穏やかな表情で眠るようにす~と逝ってしまいました。
家族に看取られ、最後まで自力で動き、最後のお願いを聞いてもらうまで生き続けたミルク
寂しい気持ちもありますが、多頭飼いの暮らしの中
ボス犬として長い間頑張りつづけ、凛とした生き方をした老犬に今は感謝をするばかりです。
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