体が弱ったり、寝たきりになった老犬と暮らしていると、家族が自由きままに使える時間はどんどんと少なくなっていきます。
現在の我が家は、老犬たちの排泄時間や生活リズムに合わせながら、買い物に出かけり、たまにはお茶を飲みに行くのです。
ところが、この生活リズムが、ちょっとしたことで崩れてしまいます。
そして、突然崩れてしまたタイミングに出掛けてしまうと、オシッコとうんちまみれの大吉がハウスを破壊し、顔中が傷だらけになってしまうことも・・・
鍵を開けて家の中に入った瞬間、外出したことをものすごく後悔してしまうのです。
老犬との暮らしに家族は目が離せない
去年の秋ごろから、急に徘徊したり、ハウスの中で暴れたり、散歩中に倒れてしまったり、と、いろいろと危なっかしい行動が多くなった、ミックス犬の大吉おじさん
日中は70代の母が大吉を見張って、危険なことをしそうなら「大吉、大吉」と声を変えたり、なでたりして意識を家族に向け
深夜の仕事を終え、くたくたになって帰宅した私が、真夜中から朝まで大吉の横で眠り、徘徊しそそうになると声をかけ
夜鳴きをはじめると、抱っこをする生活が続いています。
こんな生活が2か月を過ぎるころから、ボケが始まった大吉の生活リズムらしきものができ始めます。
排尿・排便・夜鳴きに徘徊にも何となくパターンが
午後9時過ぎから2時間ほど夜鳴きと徘徊がひどくなる日は、眠ったまま排尿や排便をしてしまう
夕飯後、すぐに遠吠えを始める日は3時間ほど鳴く・徘徊を繰り返すが、排尿・排便はトイレに誘導すると失敗がない
朝食後、すぐに眠ってしまうときは、2時間ほどしてハウスを破壊するほどの力で暴れまわり、立ったままオシッコをしてしまう。
朝食後、力の入らない下半身を引きずりながら、私の後を追って動くときは、お昼の11時から3時くらいまで大人しく眠る
このパターンを不定期に繰り返すのですが、どのタイミングで切り替わるかわかりません。
仕事をし、家を留守にする私にとって、大吉の世話のタイミングがなかなかつかめず、正直なところ体力も気力もいっぱいいっぱいになていきます。
オムツを食い破る老犬の介護は本当につらい
大吉は♂犬ですが、早くに去勢をしたせいなのか、足を上げておしっこはしません。
下半身に力が入らなくなってからも、腰にスポーツタオルをくるりと巻き、軽くつるすようにしてあげれば、排尿も排便もどうにか自力でできていました。
でも、徐々に下半身が踏ん張る力が弱くなり。支えても排泄が自力でできなくなったため、オムツをつけ念のためトイレシートをハウスいっぱいに広げ、いつちびってもいいようにしてみたのです。
これでウンチは最悪してしまっても、おしっこで体中がびちゃびちやになることはないと、家族は安心していたのですが、大吉はトイレシートもオムツも食いちぎってしまったのです。
バリバリに喰いちぎられたオムツとトイレシート
ただ食いちぎってバラバラにするだけならまだいいです。
大吉の口の中から、吸水シートのかけらをポロポロ掻き出すたびに、大吉がまるで虐待されているかのように鳴きだします。
ウンチまみれオシッコまみれになるよりも、大吉の鳴き声ともしかしたらシートを食べて死んだら・・・という恐怖のほうが大きくなり、結局はオムツをつけることは諦めました。
新聞紙とタオルシーツ、ゴミと大量の洗濯の毎日
老犬の介護の本を参考にすると
- 老犬介護の排泄には、オムツを使いましょう
- 排泄が失敗しても大丈夫なようにトイレシートをハウスいっぱいに敷きましょう。
なんてことが書いてありますが、食いちぎってしまう大吉にはこの方法は使えません。
そもそも、体力があったりボケて火事場のくそ力のようなパワーをだして動き回る老犬には、ハウスいっぱいのトイレシートなんて役にも立ちません。
結局、ハウスに新聞紙を敷き詰めガムテープで固定
その上に使い古してごわごわになったタオルシーツを敷く(ごわごわしているほうが、大吉がたった時に足を滑らせにくい)
さらにその上に使うふるしたバスタオルを敷く(オシッコをしたいとき、少し厚くなったタオルの上でする確率が6割)
このほうほうで、どうにかオシッコでびちゃびちゃになる回数を減らすことができました。
しかし、問題はウンチのほうです・・・
家族が寝ている時間、いない時間に限ってウンチをする老犬
大吉は家族が眠った後や出かけてしまったあとに、8割ほどの確率でウンチをしているんです。
最初はトイレに誘導するタイミングが悪かったのかとも思いましたが、こっそりと観察して分かったことがわります。
家族がいなくなり探し回っているうちにウンチをちびる老犬
大吉が眠ったのをみて、私たちも眠りについたり出かけたりしますが、大吉は家族の気配がなくなると目が覚めてしまうのです。
- 目が覚めてきょろきょろとする
- 鳴いてみる
- 吠える(遠吠え)
- 「大吉」と呼ばれないので、必死になって立ち上がろうとする
- 下半身に力が入ってしまい、排便をしてしまう。
- その後、力尽きて倒れる
- でも、やっぱり家族が恋しくてハウスのなかを這いずりまわる
- ウンチまみれになる
つまり、家族がそばにいればウンチまみれになることはほとんどないといっても間違いありません。
でも、私たちにも生活があります。
24時間大吉だけを見ているわけにはいきません。
さらに問題なのは、下半身に力が入らなくなったウンチまみれの老犬の体を洗うことができないことです。
柴犬よりも大きな体でしかもダブルコートの大吉を、汚れたたびに洗い乾かすのは母ちゃんの体力を奪います。
なによりも体力が低下してきている大吉が、シャンプーされることに体が耐えられるはずがありません。
汚れた老犬の体を消臭剤で拭く生活
おしっこを漏らし、体中ベタベタになってしまった日も
うんちをして踏みつけながらハウス内を歩きまわっている日も
まずは排泄物で汚れた大吉の体を乾いたバスタオルでふき、その後、犬の体にも使える消臭剤を体に吹き付け数回拭きます。
カンファペット を大吉の体全体にスプレーし、何度も乾いたタオルで拭いて上げるしか方法がないのです。
シャンプーをしてあげた後ほどスッキリとはしませんが、それでもかなり臭いは消え、大吉の横で添い寝をしても気にならないほどになります。
老犬がウンチまみれにならなくなった日
帰宅すると家の中が排尿と排便のニオイでたまらないほどの悪臭となっていた日から数か月後
大吉は完全に寝たきりになりました。
オムツもトイレシートも食い破らなくなり、膀胱を圧迫・肛門を刺激しないと排泄さえ自力でできなくなりました。
あれほど耐えられないと思った介護臭も、徐々に薄くなり大吉は虹の橋を渡っていきました。
老犬の介護に耐えられないと何度も思いましたが、いま思うと家族に我儘をいわない
いつも他の犬の後ろで大きな体を小さくしていた大吉の精一杯の自己主張だったのかもしれません。